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旧津山藩別邸庭園(衆楽園)

きゅうつやまはんべっていていえん(しゅうらくえん)

概要

旧津山藩別邸庭園(衆楽園)

きゅうつやまはんべっていていえん(しゅうらくえん)

名勝 / 中国・四国 / 岡山県

岡山県

津山市山北

指定年月日:20020920
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

旧津山藩別邸庭園(衆楽園)は,江戸時代初期に藩主である森氏によって築造された回遊式の庭園である。その後,松平氏が藩主となった元禄15年(1702)から幕末に至るまで,主として藩の別邸の庭園として使われ,明治3年(1870)に「衆楽園」と命名された。
 庭園は南北に長い敷地を有し,その大半を池が占める。別邸の建築群は今は失われて遺らないが,それらの姿を再現して,池の北西岸に余芳閣及び迎賓館,中島や池の東岸に複数の亭が建つ。
 北から邸内へと導かれた水は重畳する深い築山の間を流れ,小さな滝を経て池へと導かれる。滝石組には,落ちる水に変化を付けるためか,水落の一枚岩の上面に等間隔の刻みを数箇所入れるなど,独特の技巧が見られ秀逸である。
 池は中島及び中島に架かる橋により,大きく三つの水面に分けられる。北池は北岸と東岸から築山が迫るのみならず,水面の東に寄せて中島の築山が控えるなど,深みのある幽遂な景を造り出している。北池の西岸に建つ余芳閣の階上からは,このような奥行きのある庭園の風景の背後に,はるか東方の山並みを望むことができる。これに対し中央から南の池にかけては広々とした水面が展開し,池をめぐる道づたいや,ところどころに配された亭からは,それぞれの場面ごとに広闊な水面の風景を楽しむことができる。
 北から南へと変化をもって展開する庭園の景が,南北に長い敷地の中にうまくまとめられており,岡山県北部の津山地方を代表する回遊式の大名庭園として,芸術上,観賞上の価値は極めて高い。また,北池の北岸及び東岸における曲水の流れや余芳閣の北に続く迎賓館の建築など明治以降に付け加わった部分もあるものの,天保2年製作の絵図に描く地割をほぼそのまま現在に伝えており,庭園史における学術上の価値も高い。よって名勝に指定し,保護を図ろうとするものである。

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