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大保の宮座行事

おおぼのみやざぎょうじ

概要

大保の宮座行事

おおぼのみやざぎょうじ

無形民俗文化財 / 近畿 / 奈良県

奈良県

奈良市大保町

奈良県指定
指定年月日:20190222

無形民俗文化財

奈良市大保町の八坂神社では氏子の中の最高齢者が老(ロウ)主(シユ)、次が副(フク)老(ロウ)主(シユ)となる。また老主・副老主に次ぐ高齢者は十(ジユウ)人(ニン)衆(シユウ)となり、当(トウ)屋(ヤ)主(ヌシ)は籤で選ばれる。秋祭りでは家並み順で選ばれるお渡り衆が渡(と)御(ぎよ)で楽器を持ち、神社で三角跳びと横跳びを奉納する。
 秋祭りの宵宮祭では、老主を先頭に当屋主とその子息、お渡り衆が神社のある丘の周囲を一周する。青の素襖(ソウ)を身につけ、扇を持ち、立烏帽子をかぶったお渡り衆は年齢順に太鼓・小鼓・法螺貝・篠笛・編木(びんざさら)の楽器を担当し、鳴らしながら道中を進む。拝殿に戻ると神事があり、お渡り衆によって拝殿内で三角跳びが行われる。最初に楽器と扇を前において拝んだ後、扇を広げて床を払う仕草をする。つぎに楽器と扇を中央におく。楽器を中心に、正三角形の形をなすように跳ぶ。楽器より本殿側を起点に、時計回りに一周する。これを一人が三周繰り返す。三周目にもとの位置に戻ると、逆の方に少し跳ぶ。最後に楽器を短く鳴らし、もとの席に戻る。
 翌日の氏神祭では十人衆が加わって朝から神事がある。宵宮と同じ一行は拝殿から境内の周囲を三周する。一周目の途中、鳥居脇で立ち止まり、老主の主導で全員が唱和して、大保の山中にある二十一ヵ所の森(モリ)神(ガミ)の呼び出しをする。拝殿に戻ると、お渡り衆は境内に出て、編木役の最年少の二人が横跳びをする。両手を水平に広げ、向かいあって三度、背中あわせで三度、また向かいあって三度、真横の方向に跳ぶ。
 楽器を手にしたお渡り衆による三角跳びや横跳びは田(でん)楽(がく)芸(げい)を模倣した東山中の秋祭りに共通した芸能の代表的なものである。また森神の呼び出しは他の地域では見られない貴重な儀礼である。楽人衆の渡御と田楽芸を伴った東山中における祭祀形態を典型的に伝承するとともに、二十一の森神を呼び出す特殊な儀礼を含む宮座行事として重要である。

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キーワード

/ 神事 / / 神社

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